2009/05/08
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家事の闇の中
藤沢の作品は、壮大な浪漫の物語というよりも、街角に生きる庶民の悲喜こもごもを描いたものが多い。
私の好きな作品の、「闇の中」にこのようなくだりがある。
「乾作之助が入っていくと、月番家老の助川権の上は、ちらりと振り向いただけで、後をしめてこちらに寄れ、といった。
助川は、机のわきに山のように帳簿を積み上げて執務中だった。」
さて、この下り、面白いなと思うのが、帳簿を積み上げて執務中だった、という部分。江戸時代でも
やはり家事代行に代表されるような、帳簿の積み上げのような作業が発生するのだとしみじみ感じいった。
次に、このようなくだりがある。「強い緊張んいとらえられながら、作之助はそう思い、なかなかものを言わない家老を見守った。
今の藩では、脱藩した佐久間に追手を出している。佐久間は脱藩するときに、妻を同行した。その佐久間の妻が、作之助の妹である。」
どうだろうか、この情緒にあふれる表現。家事や掃除といった言葉は出てこないが、読み手の想像力を喚起させるに十分である。